中国語の勉強を始めると徐々に疑問点や自分の苦手な分野が見えてきます。それらを解決するには本を買って勉強するのが一番です。
また、中国に留学して授業を受けると文法内容について分からないところが続出します。ところが中国で日本語で書かれた文法書を見つけるのは至難の業で、なおかつ輸入品ですから高額です。留学の際には使い慣れた文法書、学習書を数冊中国に持ち込むことをおすすめします。以下が「中国留学情報」オススメの中国語学習書です。
まずは入門書から。新書サイズの軽~い本です。出張に出る前に空港の本屋さんで買って飛行機の中で読み終わり、北京に着くころには簡単なあいさつができる。全編マンガですから読みやすい。「中国語を勉強しようとは思うけど、なかなか第一歩を踏み出せない」 そんな方のきっかけ作りにはもってこいの1冊です。
ちなみに著者の高さん、専門はハングルです。同じシリーズのハングル入門はまさに秀作です。空港で買ってソウルに着陸する頃には、何と!看板のハングルを声に出して読むことができます。入門、きっかけ作りが上手な先生なのかもしれません。中国語でもそのセンスが発揮されています。
入門書一押しはこれです。入門書はどれも似たような構成になっています。発音の仕方、簡単な文法説明、そして会話シーンにあわせた例文紹介。この本も同じような構成なのですが、最大のポイントは発音の仕方の説明が詳しく分かりやすいことです。入門書の中では発音の説明が初心者にとって一番分かりやすいです。
中国人留学生を家庭教師に雇ったり知り合いの中国人に頼んで発音矯正をしてもらう時に、このテキストを使うと非常に効果的です。中国人がうまく言葉で説明できない部分をこのテキストが補ってくれます。
文法の説明も丁寧ですし、CDが付いているので耳からの学習もできます。はじめて勉強される方、迷ったらこの本を使ってみてください。
基本文法書で一押しです! 入門段階が終わったあと中級が終わるあたりまで十分対応できます。特に補語や受身文、兼語文の説明がわかりやすく感じます。中国語文法では恐らく一番売れているのではないでしょうか? 上海の外国本の販売店の古書コーナーで一番多く売られている文法書がこれです。多くの留学生が中国に持ち込んできています。
この本に書かれている内容の半分を理解すれば、初級クラスに確実に入れます。文法書を何か1冊と問われれば、迷わずこれをおすすめします。
留学生仲間の間では非常に評判が良かった文法書です。最近の中国語初学者ではこの本を1冊目に買う人が多いそうです。
NHKラジオ講座の講師で、中国語検定(中検)協会理事長の上野先生が書かれた本です。実はこれ、隠れた(?)名著です。重要な文法内容を88項目にまとめ、さらに1項目1ページだけ。しかも大半は例文です。説明はわずか数行なんですが、これが何と分かりやすいことか!このややこしい内容をよくもここまでシンプルに表現したなと感心します。
厚めの文法書に一通り目を通したあとや、ラジオ講座を半年済ませたあとなどにこれを読むと、頭の中でゴチャゴチャになった文法内容がキレイに整理されます。文法事典代わりにもなりますよ。
これは文法書ではなく中国文法の問題集です。短い文章が300文あって、それぞれについて合ってるか間違ってるか、どこが間違ってるかを答えるというシンプルな形式です。問題20ページに対して、解答解説50ページと非常に詳しく、分かりやすいです。一通り文法を勉強した後に、自分が理解できていない、定着していない項目を発見するにはぴったりの問題集です。
文法系の問題集って実は良書があまりありません。クラス分け試験がHSK形式で不安だという方はこれで力試しをしてみても良いかも。ただし、内容はけっこう難しいです。初級者ならば3割合えば上出来です。
ダントツのおすすめです! 中国の大学で留学生に中国語を教える中国人教授が「これはスゴイ」と絶賛した一冊です。
中国語の勉強を進めていくと、急に疑問点が増えてくるときが来ます。「なぜこの場合は”了”がいらないんだ?」、「処置文なのになんで”把”がないの?」などなど。そんな疑問の数々に答えてくれるのがこの本です。
著者の郭先生は中国人です。日本語を勉強した後、東京大学で中国語学を学び日本人と結婚し、現在は広島修道大学の教授をされています。中国語教育の中で学生が犯す数々の間違いを体系化し、その原因を分析し、日本人の発想に基づいた、日本人が理解しやすい解説をしたのがこの本です。
説明は実に丁寧かつ明快です。上述の”了”に至っては実に30ページを使って解説されています。解説は時に中国人の発想の仕方にまで至り、異文化である我々日本人が分かるレベルまで噛み砕いてくれています。書店に並ぶ数々の中国語学習書の中で、これよりも詳しく、細かく、くどくどと説明した本は恐らく無いのではないでしょうか。
中国に留学して予習段階で分かったつもりでいたのに、授業を受けてみると分かっていない部分が見えてくる。先生にしつこく質問してもシックリ理解できない。留学中にはそういうことが何度とあります。その時に解決の手助けとなってくれるのがこの本です。中国語文法の微細な点について、この本よりも分かりやすく説明できる中国人教師はめったにいません。
中級者には必読の1冊であり、また、留学の際には絶対にもって行くべき1冊であると断言します。装丁も地味でメジャーじゃないですので、まだまだ扱っている書店が少ないのが残念です。この本が全国津々浦々の書店に並び、悩める中国語学習者すべての手に渡ることを願ってやみません。
こちらも日本で中国語を教えている先生が、学生の間違いを集めて作った本です。助詞、介詞など虚詞の説明に多くの紙幅を費やしています。250ページほどの中で”了”だけで21ページ、他にも”着”、”把”など日本人が間違いやすい虚詞について、誤例、正解、理由説明、同様の事例の紹介をしていきます。
中国語の虚詞は日本人にとって分かりにくいものが多いですよね。具体性の無い言葉だけに、名詞や動詞に比べると中国語で説明されてもよく理解できないことが多いです。その意味でこの本はいざというときに役に立ちます。
勉強を進めていくと次第に知っている単語(語彙)が増えていきます。それがある程度になると、それぞれの意味の違いがネックになってくるのです。例えば”能”と”会”の違いくらいだと、文法書の最初の方に詳しく説明してあるので分かります。”突然”と”忽然”の違いも辞書を読み込めば解決できるでしょう。
ところが、”全部”と”所有"のようにニュアンスが微妙に違うもの、”以后”、”后来”、”然后”のように似ているようで意味が違うもの、さらには”漂亮”、”好看”、”美麗”などなど「美しい」という意味を表す言葉がそれぞれどう違うかとなってくるとお手上げです。
これらの中には中国人に説明されてもよく分からないもの、さらには中国人自身が上手く説明できないものもあります。こういうときに役に立つのが類義語を説明した本です。
この本は外国人向け中国語教育の総本山である北京語言大学の先生方が留学生の誤例を集めて解説したものです。非常にコンパクトな本なのですが、分かりやすく例文も豊富です。実際に中国に留学して現地でも最もよく使う本の一つに必ずなるはずです。
上掲の「~300例」に比べると、たまに説明が分かりにくいところがあるのですが、この本が優れているところは収録語数が多いことです。600語近くが収録されています。また、動詞、形容詞系の説明が多い点も使い勝手が良いです。作文をするときに力になってくれる本です。「~300例」と合わせて使ってください。
雑誌「東方」の連載をまとめたもので上級者向けです。語彙の違いだけでなく、その背後にある言語上の成り立ちの違い、文化背景の相違にまで言及していて、学術書に近いものです。前にあげた2冊を見ても分からないときはこの本の出番です。単なる類義語辞典としてだけでなく、読み物としても面白いです。
発音ならばコレ! こまかい発音の違いを勉強するにはもってこいの1冊です。
多くの学習書では「ん」の発音の違いを、nとngの違いの一言で片付けているのですが、この本ではanとang、uanとuangなどn、ngが関係する16の発音すべてについて説明しています。
また、この本のよいところは、前出のanとang、そしてzhとchやdとtなど、似た発音を一つのページに収めて比較しながら学べるようにしている点。さらに、それぞれについてCD付きの練習問題をたくさん載せているところです。例えば、dとtの説明の後にdとtが入った72個の単語の発音練習があります。
この本のおすすめの使い方は、中国に留学中にこれをテキストに使って、互相学習相手に発音矯正をしてもらうことです。57音すべてについてページが割かれているので、ごまかしが効かず非常にハードですが、正しい発音を身に付ける非常に良い練習になります。余白が比較的多く書き込みをしやすい点も便利です。
中国語を勉強し始めて半年から1年が過ぎ、すっかりリスニングに自信をなくしてしまっている方は是非、一度この本を試してみてください。きっと立ち直れます。
乱暴な言い方をすると、初心者向きの比較的簡単なリスニング問題集です。ところが、その「比較的簡単な」というのがなかなか無いですよね。筆者は日本で日本人に中国語を教えていますので、日本人の苦手とするところも十分に把握しています。それをもとに作られたこの1冊は、必ずあなたの自信を取り戻し、リスニング強化に再度チャレンジする勇気を与えてくれます!
内容がかなり簡単ですので、中級以上の方にはおすすめしません。自信をなくしかけた初級の方、そろそろリスニングをやってみようかと思い始めた初学者の方にはおすすめの1冊です。
中国語学習でブームを通り越しすっかり定着したシャドーイングですが、これを最初に紹介したのがこの本です。発売直後にこの本を買って衝撃を受けた中国語学習者がかなりいました。
シャドーイングとは英語の同時通訳者の養成方法として開発された手法で、CDを聴きながらまったく同じ内容を少し遅れて言う、という手法です。「我是日本人、还没去过中国。」という文書をCDで流し、CDより1秒遅れくらいで同じ文書を自分で話します。CDの音声を気取りながら、聴きとったものとまったく同じことを話すということです。正確に聞き取れないと同じ内容を話せませんから、当然、聞く力が鍛えられます。さらに、CDのスピードに強制的に引っ張られていきますから、話すスピードが速くなります。
通訳養成者が書いた本だけあって、非常に実用的に作られています。最初のシャドーイングの練習は何と日本語です。日本語でシャドーイングに慣れさせ、次に漢詩など短く、リズムの良い文章で中国語のシャドーイングに導入する。そして徐々に長く、難しい文章に持っていく。実務者らしい構成になっています。
中国で留学中にシャドーイングをすることを強くおすすめします。総合か閲読の授業で使う教科書の付属CD(またはテープ)を買って、予習の時にシャドーイングをします。それも中途半端で妥協せずに、CDと同じスピードで一切つまらずに最後まで読めるようになるまでやります。すると授業中に読みを当てられた時、教師とほぼ同じスピードと正確さで読めるようになります。これはかなり自信が付き励みになります。もちろん、スピーキングのトレーニングになることは言うまでもありません。
そのシャドーイングの日本での練習としておすすめなのがこの本です。読む前と読んだ後とで、本当に効果があったことを実感できる1冊です。
単語本の一押しです! 語学は突き詰めれば単語量の勝負。地道にコツコツ増やしていきましょう。
書店では多くの単語本が並んでいますが、どれも収録されている単語に大きな違いはありません。実際に「覚える」という作業を行っていくうえで、どれが一番使い勝手が良いかが決め手になります。
おすすめは次のような方法です。1.日本語の部分を隠して、中国語を見て日本語を言う、2.中国語の部分を隠して、日本語を見て中国語を言う、3.例文の日本語訳を隠して、中国語の例文を見て日本語に訳す、4.中国語の例文を隠して、日本語訳を見て中国語の文章に訳す
ごくごく普通のありきたりの方法なのですが、これをできる単語本ってほとんどありません。単語を隠しても例文のほうが見えてしまったり、かなり無理をしないと隠せなかったり、どうしても使いづらさがあるんです。そんな中で上述の使い方ができる唯一の単語本がこれです。
他の単語本と同様にこの本にもCDが付いています。ですので家で覚えて、通勤・通学途中に聞きながら定着作業という方法ができます。留学する前、日本にいる間にできる限り単語量を増やしましょう。中国に行ってから楽ができます!
非常によくできた単語本です。ある程度の単語数が身について、さらに増やそうという人には良いと思います。
作文は是非やりましょう。日本人は漢字が分かるので中国語は見て分かります。留学してしばらくすると簡単な会話もできるようになるので、なんとなく力が付いたような気になるのです。しかし、「見て分かる、話せる」と、「書ける」はまったく別の次元です。作文ではすべての文法力、語法、単語の用法が試されます。総合力が現れるのは実は作文なのです。
ある現役の通訳者が次のようなことを言っていました。「中国には中国語を話せる日本人はいくらでもいる。だが、本当に中国語を分かっている人は数少ない。文章を書かせればすぐに分かる。」
会話はそのときの流れ、相手の表情、身振り手振りでいくらでもごまかしが効きます。しかし文章はごまかしが効きません。もちろん実務はそれで通用するのですが、どうせならば少しでも正しい言葉をマスターしたいものです。発音の訛りと違って、言葉の違いは相手に伝える内容自体が変わってしまいます。特に接尾語や、似ているようでニュアンスが違う動詞・形容詞の区別などを身につけるのに作文はもってこいです。
ただし、作文は中国人に添削してもらいながらやらないと無意味です。微妙なニュアンスや、上手な言い回し、中国語らしい表現などは、中国人じゃないとわからないものです。ですので、この本を買って日本では使わず、中国に行ってからこれを使って互相学習相手に作文を添削指導してもらうという方法が非常に効果的です。日本で中国人留学生を家庭教師に雇って添削してもらうというやり方もありです。
上掲書の中級編です。これは難しいです。
「中国語の勉強なんていつまで続けられるか分からないし、とりあえず安いもので…」そんなこれからはじめて中国語を勉強するという方にぴったりの辞書です。とてもコンパクト(8×16cm、厚さ3cm)なのに中日と日中両方ともが入っています。内容的にも充実していて、特殊な単語や用法以外は一通り収録されています。
大きな辞書に比べるとページ数も少なく、1ページあたりの単語量も多いので、辞書を引くのがとても速い! 簡単な単語であれば、電子辞書の電源を入れて立ち上がるまでの時間で、この辞書ならば調べられてしまいます。テレビや新聞を見ているときに出てきた知らない単語をさっと調べるときにも便利です。
まさに初心者に最適の1冊。まず、デイリーコンサイス、物足りなくなってから(続けて勉強する自信ができてから)、大きな辞書or電子辞書です!
北京の商務印書館と共同著作、日本で最も優れた中日辞典ともいわれています。ペーパー派の方におすすめです。
収録語、説明などが分かりやすいことは言うまでもありません。例文も豊富で、また2色刷りですのでとても見やすいです。この辞書の優れている点は、文法説明が詳しく分かりやすいことではないでしょうか。文法書を何冊見ても理解できなかった内容が、この辞書のコラムでスッキリ納得ということがよくありました。
上掲書の日中版です。
日常よく使う会話表現をまとめたものです。使える表現を増やしたいという方には良い本だと思います。
みなさんご存知のシリーズです。見ているだけでも楽しいのは民族が違っても同じこと。旅先などで初めて会った人との会話のきっかけ作りにも使えますよ。
中国人へのおみやげに最適です! 普通の「指さし」シリーズの逆バージョンで、中国人が指さしで日本人と会話するための本です。これは中国人に喜ばれ、猛烈に盛り上がりますます。互相学習相手や行きつけのお店や食堂の人にあげると、下手な日本みやげよりよっぽど喜ばれます。勾留のネタ作りにもうってつけです。
「そっか、もうちょっと頑張ってみよう」そんな気持ちにさせてくれる1冊です。
著者は30代半ばで中国に渡り中国語をマスターし、プロの翻訳家として活躍されています。この本には妙に納得させられ、躊躇する心を後押しされる内容です。実践者の体験記はやはり説得力が違います。
上掲書の続編で、中国語の勉強方法を具体的に説明しています。この本にはかなり影響を受けると思います。もちろん、書いていることすべてに同調するわけではないでしょうが、「なるほどなぁ」とか、「そうなのかな?」と考えながら読み進めていくうちに、自分なりの勉強方法のイメージが出来上がってくるはずです。
「ようし、これから勉強するぞ!」と意気込んでいる方、「うまくいかないなぁ…」とスランプに落ち込んでいる方におすすめできる1冊です。